栗原はるみの対談シリーズ vol.1「料理家は、楽しい」

栗原はるみの対談シリーズ vol.1「料理家は、楽しい」

栗原はるみが「もうひとりの息子のような存在」というケンタロウさん。意外にも、対談というかたちでゆっくりと話す機会は、あまりなかったふたり。共演中の日本テレビ「スッキリ!!」の収録の後に、お茶とケーキでひと息つきながら行われた対談は、日々のくらしのことから、「料理家」としてのスタンスまで、話がつきることがありませんでした。

1972年東京生まれ。
母は、料理研究家の小林カツ代。イラストレーターとして活動をはじめ、その後、料理研究家に。
料理のモットーは、「簡単でおいしくって、洒落っ気があって現実的なもの」。ひとり暮らしの若者から主婦、男性など幅広い層に向け、チャレンジしやすくておいしいメニューを提案し続けている。

INDEX

  • 第1回 大先輩、かつ友達のお母さん
  • 第2回 私のキッチン、ぼくのキッチン
  • 第3回 それぞれの元気のもと、人生の流儀。
  • 第4回 知られざる料理家の苦労
  • 第5回 料理家ってすばらしい仕事

第1回 大先輩、かつ友達のお母さん

栗原
ケンタロウくんと初めて会ったのは、心平とやってる番組(スカイパーフェクTV「白金台三丁目食堂」)にゲストでお邪魔したときよね。あれはいつだったっけ?
ケンタロウ
たしか2007年の12月ごろだったと思います。もうめちゃくちゃ緊張しましたよ、あんときは。
栗原
えーっ、ほんと? 年がずっと上だから?
ケンタロウ
いや、そんなもんじゃないですよ、料理界の大先輩で超有名人だし、そんなすごい人に実際に会うなんて、前の晩は眠れませんでした。
栗原
ハハハハ、でも楽しかったよね、3人で料理して。
ケンタロウ
ぼくの目の前で料理作って食べさせてもらって、夢じゃないんだ、これ、現実なんだって感動しました(笑)。

ケンタロウさん

栗原
私、ほかの料理家のかたとはほとんどお付き合いがないんですよ。
でも、ケンタロウくんにはちょっと会ってみたいなあって、ひそかに思ってたの。
ケンタロウ
えっ?!、ホントですか。
栗原
のびやかな好青年だなって思ってた。
知り合いのカメラマンから、ケンタロウくんはすごくいい子だって聞いたから、ちょっと気になってた。
会ってみたらほんとにその通りでした。
ケンタロウ
料理家どうしがいっしょに仕事するって、あんまりないですよね。
心平ちゃんというワンクッションあったから自然な流れで、
お目にかかれることになって……大先輩であり、かつ友達のお母さんみたいな、そのバランスがよかった。
栗原
心平のおにいちゃん、みたいなものよね、今や。
ケンタロウ
ぼくの中には今だに緊張感はありますけど、
「この海苔、おいしいですね、うちにもください」みたいなことは言えちゃう(笑)
栗原
いいと思うものはあげたくなっちゃうのよ。
これもあれも持っていきなさい、とか(笑)
ケンタロウ
バスマットもいただきました(笑)
栗原
私もいただいた革の包丁入れ、大事にしてます。
これもあれも持っていきなさい、とか(笑)
ケンタロウ
ありがとうございます。おそろいなんです、光栄です。
料理家どうし仲良くしてて困ることないですか、って聞かれることがあるんですけど、
しいていえば、ぼくの場合チーズケーキですかね。
栗原
チーズケーキがどうしたの?
ケンタロウ
はるみさんのあれを知っちゃったらもう、こっちは出せないですよ。
簡単でおいしくて、あれほど完成されたレシピはありえない。
栗原
失敗しないチーズケーキね。だれが作っても90点はいける。
私もチーズケーキのレシピはいくつか持ってるけど、結局この作り方に落ち着くのよ。
10分でできちゃうし、冷凍しても味が全然変わらない。
ケンタロウ
超絶に簡単ですよね。
あっ、そうだ今日はあいつの誕生日だったとか、思い出して冷蔵庫の材料で即作れる。
究極のレシピといっても言い過ぎではない。
栗原
それでも何100回と作っているうちにさらに進化する。
たとえばクッキーはビニール袋にいれてすりこぎでたたいてつぶして、
そこに常温においてやわらかくしたバターを入れて混ぜ、袋をひっくりかえしてケーキ型に入れてビニールの中でおさえれば、手も汚れないし洗い物も少なくなって、さらにスピードアップするでしょ。
とことん追求していくと、必ず新しい道がみつかる。

栗原はるみさん

ケンタロウ
ぼくのレシピでは、バターは溶かしバターにしておいて混ぜるってなってるんですけど、
やわらかくしてそのまま混ぜればいいんだ、そのほうが簡単じゃん、って気が付いた。
それがわかっちゃうと自分のレシピ、どうしたもんかって出しにくくなります。
栗原
それぞれのやり方、おいしさがあるから気にしなくていいんじゃない?
ケンタロウ
チーズケーキは急いでるときなんか、自分のじゃなくてはるみさんのレシピで作るんですよ。
で、みんなに食べさせるとおいしい、おいしいって言われて。
当然おれのレシピだとみんな思ってますから、いまさら栗原さんのだとは言えない(笑)
栗原
ハハハハ、でも、そういう話ができちゃうっていいよね、
本人目の前にして(笑)。私もケンタロウくんから学ぶことはいっぱいある。
たとえばこの間の鶏のトマトソース。鶏はトマトソースで煮込むものと思い込んでたけど、
そうかオーブンで焼いてかけるだけでいいんだ、そのほうが軽いかなって気付いた。
すごく勉強になりました。
ケンタロウ
ほんとですか、いやあ、自分の料理を目の前で栗原さんに食べられるときって、
なんて言われるかすっごい緊張ですよ。
栗原
ほんとおいしかった。
これからもお互いわからないことは教えあったりして、助け合いましょうね。
ケンタロウ
こちらこそ、よろしくお願いします。

 

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